エルンスト・フォン・バーベム(ラーゼフォン)

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この世界は私のシステムで、今動いている。
その行き着く先を見届けるのは、 創造主の特権というもの、だろ?


TVアニメ「ラーゼフォン」及び映画「ラーゼフォン 多元変奏曲」に登場する謎めいた老人。
CVは「鋼の錬金術FA」の「お父様」役などで知られる家弓家正氏。

主人公神名綾人が属する組織「TERRA」のスポンサー、「バーベム財団」の当主。登場人物からはもっぱら「バーベム卿」と呼ばれる。
Wikipediaによれば「世界を裏から牛耳っている」とのことで、実際そうなのだが、ラーゼフォンの世界は謎の侵略者「ムーリアン」によって危機的状況にあるのであまりそういった感じはない。
何代も前の当主から外見が変わっていないと噂され、ノスフェラトゥ」「メトセラ」と呼称されることも。

非常にややこしいため分かりづらいが、物語の実質的黒幕であり、世界を調律する(=創り直す)「ラーゼフォンシステム」の開発者である。

その正体は人類の敵対者であり、別次元の人類である純粋な「ムーリアン」
ムーリアンは他者に同調することでその身体を乗っ取ることが出来、彼は自身のクローンに意識を移し替えることで命を延ばしていた。これが彼が不死と呼ばれるカラクリである。
そんなバーベム卿の目的は、自身が造ったラーゼフォンシステム」による世界の調律を見たい、ただそれだけである。
そもそも人類とムーリアンの世界はお互いに干渉しあう「不調和」な状態で、このままでは二つの世界は共倒れだった。
その解決策としてバーベム卿が考えたのがラーゼフォンシステム」による世界の調律である
つまりバーベム卿がやろうとしたことは全く悪いことじゃないのだ。
それでも彼が間違いなく悪役なのは、彼が世界の救済を目指したのではなく、自身が造ったシステムが世界を創り変える様を見届け、創造主になることを目指したからである
その為ムーリアンでありながら、世界が人類側、ムーリアン側、どちらの側に調律されようとしったこっちゃない。
ラーゼフォンの「奏者」になって自ら調律することに興味はなく、あくまでシステムの製作者であることに留まるあたり、世界の行く末に興味が無いことが伺える。

奏者が誕生し、ラーゼフォンが覚醒するのを待ち続け、またその為に何万年も前から暗躍してきた。
物語終盤、老人の身体から付き人であるヘレナ・バーベムに意識を移した。ただし声はそのまま。若い女性がいきなり家弓ボイスに声変わりするのは中々の恐怖である。
ヘレナ含む奏者候補たちを生み出し、また自分たちは特別であると選民思想を植えつけていたようである。そのためかどうかは分からないがヘレナはバーベム卿を崇拝しており、彼女は身体を差し出すことに抵抗しなかった。
クライマックスにおいて、ラーゼフォンによる世界の調律に歓喜し、絶頂の中射殺される。勝ち逃げである。
つまり「ラーゼフォン」の物語は最初から最後までコイツの思惑通り。
彼は見事に目的を果たしたのであった。

劇場版だといくつか設定が異なる。
ムーの世界にいた時に調律を行うが失敗、ムーを破滅させる。それでも反省せず人間世界で再び調律を行うことを決意し、あとはTV版と同じように来るべき時に準備していた。
ラーゼフォンとなった綾人の調律がどんな結果になろうと構わないと語るが、TV版と違い、その実ムーリアンである綾人がムー側の調律をすることを信じて疑わずまたそれを望んでいた。
しかし綾人が自身の望む調律をしなかったことで激昂。
「これが私が造ったシステムの輝きだとでも言うのか。違う!」と怒りをあらわにする。「私は創造主なのだぞ」と宣うが、部下である功刀長官に「人が知覚出来る神など、神ではない」と論破され、失意のうちに射殺された。
TV版でもやもやした人は劇場版を見て溜飲が下がったとか下がってないとか。
ある種超然としていたTV版と異なり、分かりやすい悪役にされたうえ最後はみっともなく死んでいったことで、小物っぽくなり残念な気もする。

声変わり度:☆☆☆☆☆