園咲琉兵衛/テラー・ドーパント(仮面ライダーW)

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ビルが溶け、人が死ぬ。この街では良くある事だ。

仮面ライダーW」に登場。平成ライダーでは珍しい、分かりやすい悪の組織の頭目。甘党。
演じたのは「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐で有名な、寺田農氏。

Wの舞台である「風都」を牛耳る大富豪「園咲家」の家長にして、人を怪人に変身させる装置「ガイアメモリ」を街にバラまく秘密結社ミュージアムの総帥。街の人々からは風都博物館の館長として知られている。
自分や自分の家族を「地球に選ばれた家族」と呼んで憚らない、選民思想の持ち主。自分とその家族には地球を導く義務があると考えている。
常に微笑をたたえ、余裕ある態度を崩すことはない紳士。食事は必ず家族全員でとるなど家族思いで一見優しげだが、その実ガイアメモリにより街や人がどうなろうとも意に介さない冷酷さを併せ持ち、たとえ家族であろうとも裏切り者は容赦なく殺す。しかも笑いながら。主人公らからは「敵の根源」と呼ばれる。

元々は本当に優しい性格だったが、ミュージアムの地下を発掘中に息子である「園咲来人」「地球の記憶」と呼ばれる地下空間に転落、命を落としてしまうことで彼の中で何かが永久に変わってしまう。こうして園咲琉兵衛の人生は大きく狂いだすことになる。
その後彼は「ガイアインパクト」なる計画を達成するために、巨大なガイアメモリの人体実験場として風都を支配してきた(このことから後に大道克己は風都市民のことを「哀れな箱庭の住人」と称した)。
「ガイアインパクト」を起こすには、仮面ライダーW「エクストリーム」の力に目覚める必要があり、そのためガイアメモリ犯罪を追うWは邪魔な存在ではあったが、わざと見逃していた。
Wが井坂深紅郎/ウェザー・ドーパントに追い詰められた時に助けたのはそのせいである。
この時後述のテラー・ドーパントに変身して「見てわからんかね?食事の誘いだよ」と井坂に声をかけて戦闘を中断させるわけだが、誰がどう見たって分かるわけない
さすが大富豪の長、茶目っ気も十分である。

《テラー・ドーパント
園咲琉兵衛が上位のガイアメモリであるゴールドメモリの、恐怖の記憶を司る「テラーメモリ」とドライバーによって変身した姿。
頭には巨大な仮面のような装飾が施されており、見る者の恐怖を煽り立てる(気がする)。
並の人間は琉兵衛がこのメモリを取り出すだけでビビる。並じゃなくてもビビる
「テラー」の名の通り相手の恐怖を操る力を持ち、テラーフィールドと呼ばれる青黒い液状の領域を生み出し、これに触れた者は恐怖に苦しみ自滅する。簡単に言うとSAN値が最低になる
単純明快だがその能力も絶大で、一度は主人公の左翔太郎を廃人寸前にまで追い込んだ。
ちなみに相手の恐怖を煽る時眼が光るしかも人間の状態で
またテラー・フィールドは汎用性も高く、相手の攻撃の吸収やフィールドに潜ることで空間移動なども行うことが出来る。
さらに奥の手として、頭上の装飾からテラードラゴンと呼ばれる巨大な怪物を出現させることも可能。
テラードラゴンの戦闘力は非常に高く、照井竜=仮面ライダーアクセルを完膚なきまでに叩き潰した。
井坂先生はウェザー・ドーパントに翼があれば琉兵衛に勝てると思っていたが、誰がどう見たって無理
素の格闘能力は他の近接系ドーパントに比べると劣るが、あくまで並か、その少し上程度であり決して低くない。
普通の相手にはテラーフィールドによる精神汚染、それが効かない者にはテラードラゴンと、隙の無い強さを誇る。
が、最後の戦いでテラードラゴンはアクセルに、自身は恐怖を乗り越えた翔太郎が変身したWに、それぞれ敗北した。
「Nobody's Perfect」のMVによれば、かつて仮面ライダースカル=鳴海荘吉と対峙し、ボコボコにされたことがあるようだ。おやっさんどんだけ強いんだよ……。

恐怖の帝王と称される琉兵衛だが、そんな彼にも恐怖することが一つだけ存在した。
それは家族を失うこと。
彼は「イーヴィルテイル」と呼ぶ刷毛を大事にしており、それは園咲家全員がそれぞれ名前を書いたものだった。
これがある限り家族の絆は永遠……、そう思う琉兵衛だが、現実に息子・来人の命が失われてしまう。
それを認めたくない思いからか、彼の中で逆転現象が起こり、イーヴィルテイルは家族の無事を祈願するものから家族そのものへと変わったのである。
故に琉兵衛はイーヴィルテイルに執着し、これが失われるのを極端に恐れる。
現実の家族の喪失から目を背け続けてきた、なんともあわれで哀しい人物だと言えるだろう。
最後は炎上する園咲邸の中で、かつて家族が揃って過ごしていた幸せな日々に思いを馳せ、記憶の中の妻と踊りながら炎に呑まれていった。

さて、そんな彼が目指した「ガイアインパクト」とは一体なんだったのだろうか。
Wikipediaによれば、「地球の記憶の全てを解明することで園咲家を理想の家族にし、神の領域に登り詰めるため」、「人類そのものを地球と一体化させることで非絶滅種族にしようと企てていた」とあるが、劇中ではそこまで言及されていない。
実際彼が行おうとしていたのは娘の若菜に「地球の記憶」全てのデータを流し込み、「地球の巫女」とすること、それだけであった。その後どうしようとしていたかは結局わからずじまいだった。
若菜の回想によれば、「聞こえるだろう?地球の嘆きが」と琉兵衛は発言している。
これが若菜に地球の巫女になる決意をさせたことから考えると、実は地球は滅びの道を辿っており、琉兵衛はそれを止めようとしていたのではないだろうか?
そう考えると、方法は間違っていたにせよ、彼は決して悪い人物ではなかったのかもしれない。

エクストリィィィィィム度:☆☆☆☆☆