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レイス=アレン(エンバーミング ―THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN―)

我が愛しき悪役たち

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「この姿この力全て ヒューリーのために在る!!」

 和月伸宏の漫画「エンバーミング ―THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN―」に登場する、中性的な容姿の美青年。ヤンホモ。作者によれば、名前は「死霊(Wraith)」からとったらしい。

かつては主人公ヒューリーの唯一無二の親友だったが、とある事情で最大の仇敵として命を狙われるようになる。彼ら二人が袂を分かつことによって、エンバーミングの幕は上がる。

 

13歳の時、乗っていた馬車が人造人間(フランケンシュタインに襲われ、乗客のほとんどが殺されるが、運良く生き残る。同じように生き残ったヒューリーエーデルとともにワイス卿に拾われ、エーデルは養子として、レイスとヒューリーは使用人として、ワイス卿の庇護下のもと暮らしていくことになる。

それから五年後、ヒューリーの復讐のため、そして自身の人生を一変させた怪物の正体を知るため、ヒューリーとともに人造人間と戦うが、一瞬の虚を突かれ敗北。死を迎えたレイスの人生はここで幕を閉じるはずだった。

しかしワイス卿によって人造人間として復活。ワイス卿が全ての黒幕であることをヒューリーに伝え、復讐を果たした後は二人で人造人間の研究が最も盛んであるロンドンに行くことを約束する。

が、ロンドンにエーデルも連れて行くとヒューリーが決めたことで態度が急変。エーデルを殺害する

人造人間になった者は性格の豹変、記憶の崩壊、あるいはその両方を併発する。ヒューリーへの信頼執着へとねじ曲がってしまったレイスにとって、エーデルは二人のロンドン行きの邪魔者以外の何者でもなくなったのである。

この出来事が、ヒューリーに「人造人間は全て殺す」と誓わせる。そして「先に行って待っている」と言い残し、レイスは一人ロンドンへと向かう。この時のノックの数のくだりは必見。

 

ロンドンに向かう途中死体卿と出会い、その新鮮で余分な機能の無い身体に目をつけられ、Dr.リヒトア製人造人間・究極の8体の1「エグゾスケルトン」を貸し与えられる。

その後ロンドンでヒューリーと再会、激闘を繰り広げる。「貴様は死んでも殺す」と言うヒューリーに、どうしたら自分のことを許してもらい、昔のように仲良くしてくれるのかと本気で困惑し涙を流す。ならばとエーデルと同じ顔を持つヴァイオレットを人造人間にして、再び三人で新しい人生をやり直そうと提案する。当然それを否定するヒューリー。さらにヒューリーを抹殺しろと死体卿は命令する。しかしレイスは突然死体卿に反旗を翻し、これを拒否。彼にとってヒューリーが全てであり、ヒューリーに害なすものは全て敵なのである。鏡見ろ。

これを良しとしない死体卿によってエグゾスケルトンは暴走し、レイスは完全に取り込まれてしまう。最後は、自分たちは三人一緒だからこそ成り立っており、エーデルを殺したのは失敗だったと悔恨しながら、ヒューリーの渾身の一撃によってエグゾスケルトンとともに散っていった。

 

《エグゾスケルトン》

人造人間の最高の創造主、Dr.リヒトアが造った8つの究極の人造人間のうちの一つ。身体が全て骨で出来ている。レイスに装着される形で登場した。

完璧な身体を持ちながら、精神は生まれた時から壊れており、喋ることも考えることも出来ない。他人の脳と繋がることではじめて動くことが出来る。

しかしそれ故に、外部の刺激に対して一瞬の思考も介さずに反応する、凄まじい反射速度を誇る。「自動回避」「自動防御」「自動報復」の三つのモードを持つ。激戦の疲れが残るヒューリーでは抗すことが出来ず、終始これを圧倒した。

死体卿によって巨大化し、赤ん坊のように暴れ回り周囲を破壊する。足場を破壊され、身動きがとれないところをヒューリーによって破壊された。

 

初めにホモであると紹介したが、彼は別にホモなどではない。ヒューリーが好きすぎるあまり性別の壁が意味を為さないだけである。武装錬金でも似たようなのがいたような……。

そもそも何故彼はヒューリーにそこまで執着するのか。

レイスは父親に虐待を受けており、自分の人生に意味を見出すことが出来ないでいた。吹雪の中で自分の生が終わることも、彼にとってはどうでもいいことだった。しかしそんな無価値と断じた自分を、ヒューリーは大切なものを犠牲にしてまで必死になって救おうとする。今まで誰にも期待してこなかったレイスにとって、初めて期待することが出来、また期待に応えてくれるヒューリーは、唯一無二の存在となったのである。

 

作者が女性的なファクターが強いと解説しているように、ヒューリーに対する執着はものすごい女々しい。お前は捨てられた彼女か。あと和月特有の狂喜顔がよく似合うキャラクターでもある。

単行本のキャラクター解説によれば、好きなものはヒューリー、嫌いなものは両親・ワイス卿・シェイド・エーデル・屋敷の全使用人。つまりヒューリーを除く自分を取り巻く人間全てが嫌い。要するにヒューリー以外の人間は誰であれ嫌いなのだろう。しかもこれは恐らく人造人間になる前からであるのだから恐ろしい。

ちなみに今でも私は、死体卿よりもレイスがラスボスだった方が良かったと思っている。

 

ヒューリーへの執着度:☆☆☆☆☆