ヘッド(STAR DRIVER 輝きのタクト)

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「何が綺羅星だよ、馬鹿馬鹿しい」

TVアニメ「STAR DRIVER 輝きのタクト」に登場した青年。近年稀に見るクズ。絵を描くことを趣味とする。CVは石田彰氏。

物語の舞台である南十字島で暗躍する組織、綺羅星十字団の第二隊「バニシングエージ」代表を務める。第一隊は空白のため、綺羅星十字団の実質的なトップ。ある目的のため、島に眠る巨大人型兵器「サイバディ」の封印を破ることを目論む。サイバディにアプリボワゼ(搭乗)するために必要な「シルシ」を持ち、サイバディ「レシュバル」スタードライバー(=パイロット)。綺羅星十字団ではヘッドで通しているが、他の場ではミヤビ・レイジと名乗る。

物語の初めから登場し、スタードライバーが使うことの出来る「第一フェイズ」という超能力によって、封印を守る「気多の巫女」と呼ばれる少女たちの封印の一角を破る。その後一旦表舞台から姿を消し、中盤から本格参戦。自らの野望のため、気多の巫女を守る主人公ツナシ・タクトの抹殺を企てる。
第二の封印を破壊し、サイバディ「タウバーン」を駆るタクトと激突。「本来パイルはこう使う」など、戦闘中に講釈を垂れる余裕を見せるほど圧倒し、一度はタウバーンを戦闘不能にするが、覚醒したタクトとタウバーンの前に敗北。レシュのシルシも失う。

彼の本名は「ツナシ・トキオ」であり、その正体はタクトの父親である。タウのシルシを受け継ぐはずだったが、その邪悪な本性を見抜かれてか継承されなかった。
他のシルシを探すため南十字島に訪れた時、のちに片腕となるカタシロと、その婚約者であるソラと知り合う。ソラは異邦人であるヘッドに惹かれていき、遂には彼の子ども(=タクト)を身籠ることになる。しかしサイバディという力に魅せられたヘッドの心には既にソラは存在せず、ソラは島を出て行く。この時ヘッドはマキバ・シンゴという男性からシルシを譲り受けるために、彼と恋愛関係にあった。その後カタシロからレシュのシルシを与えられる。

精神がゼロ時間(サイバディが活動できる空間)に囚われており、その影響か青年のまま一切歳を取っていない。

物語終盤、長らく昏睡状態にあったシンゴが目覚め、ヘッドは彼から「シン」シルシを手に入れる。それによって他のサイバディにアプリボワゼ出来るサイバディ「シンパシー」に乗り込む。そして完全覚醒した最強のサイバディ「ザメク」をその能力によって支配下に置くことに成功する。
ヘッドの目的は、ザメクの能力によって時空を操作、タイムトラベラーとなり、自分の望む過去を何度も繰り返すこと。彼にとって綺羅星十字団はそのための踏み台でしかない。この時の彼の「何が綺羅星だよ、馬鹿馬鹿しい」という作品の根底を揺るがしかねないセリフに、視聴者は怒りに震えたとか震えてないとか。
ザメクの圧倒的な力の前に、綺羅星十字団は壊滅、タクトの乗るタウバーンも手も足も出ないでいた。しかしタクトの諦めない気持ちがザメクの放つ王の柱を突破し、ヘッドはシンパシー共々タクトの渾身の右ストレートをくらう。シンパシーは破壊され、同時にヘッドの野望も砕け散った。

何故か彼はやたらモテる。劇中では気多の巫女の一人であるサカナちゃん、タクトの母親であるソラ、シンのシルシを持つシンゴの三人と関係を持っていた。何故彼のような反吐の出る悪人が好意を抱かれるのか、甚だ不思議である。
だが、三人ともヘッドが力に執着するあまり関係は破局している。思うにヘッドは、愛情というものを軽視しているのだろう。失って初めてその重さを知り、だからこそ彼はタイムトラベラーになって自分が失った時間を取り戻そうとしたのだ。愛する者を取り戻すために、愛する者を失うとは本末転倒である。

彼の特徴は、なんといってもその小物ぶり
「戦士のドライバーは誰も俺には勝てない」「まもなく、あの銀河美少年は敗れる」など、何か秘密でもあるのか自信たっぷりな発言を繰り返すが、結果はタクトに敗北。しかもたったの一話で。ただ単に自分の強さを過信していただけだった。
その後サイバディの復旧が可能になるが、復旧の際のリスクを恐れて封印の破壊を先延ばしにするという臆病な面が露呈する。
さらには海辺で再会したタクトに顔面にグーを入れられ、「やはり奴は始末するしかないな。殴られたからじゃない。皆水の巫女を守っているあいつは結局力づくで排除するしかない」と誰が聞いてもいないのに、誰が聞いても殴られたからにしか聞こえない言い訳をするという小物ぶりを遺憾なく発揮した。
そもそもレシュバルもシンパシーもザメクも、どれ一つとして元々ヘッドのものではない。最初から最後まで一貫してヘッドは他人の褌で戦ってきており、いっそ清々しくさえある悪役である。

他人の威を借る度:☆☆☆☆☆