あまんちゅ! 第12話「蒼い世界のコト」感想

あまんちゅ!もこれで最終回。終わってしまうことが実に残念でなりません。それでは最後のレビューをしていきます。

今回は劇伴の良さが特に光っていました。てこが海中で泳いだときに流れる神秘的なBGMは、てこから見た海の美しさや未知の世界の広さや恐ろしさその他もろもろを実によく表しており、坂本真綾が歌う挿入曲も歌詞も含めて物語にピッタリ合っていました。音楽がいいと気持ちよくアニメに没入できます。

ダイビング部の面々は、てこの海洋実習の為、沼津の果て大瀬崎に向かいます。火鳥先生によれば、大瀬崎は初心者ダイバーの聖地であり、各地から沢山のダイバーがやってくるとのこと。
海に潜るの怖い?と聞くぴかりに、「少し。……でも今はワクワクのほうが大きい」と答えるてこ。マスククリアで躓いていた時に比べると、てこも精神的に強くなりました。

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いつだって手を伸ばしてくれるぴかり。良いシーンですが、嫌な見方をすればまだてこよりぴかりのほうが精神的優位に立っているように思えます。もちろんこの二人にそんなものはないと断言できますが、いつかはてこがぴかりの手を引いて欲しい。って思ってたらそのいつかはすぐに来ました。俺の節穴EYEは今日も絶好調。

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いよいよ海深くに潜るとなって、てこはあらためて海の、深い青というよりもはや暗黒の底すら見えない深さに慄きます。
と、ここで問題発生。てこのフィンが片方とれていました。あわや海洋実習中止か、と思われた矢先、近くを潜っていたダイバーが拾ってくれていて事なきを得ました。
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てこが海の中を見ると、そこにはたくさんの泡の柱が。とても幻想的な画です。泡の柱はダイバーが吐く息で、美しい光景を見たことで恐怖よりも未知の世界へのわくわくが勝ったてこは、ゆっくりと海に潜っていきます。

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海で食う焼きそば、うまそうだなあ。ARIAのやたら多かった飯テロを思い出す。

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初めて見る海底の景色にてこはおおはしゃぎ。私も何度か海に行ったことはありますが、あまりいい海ではなかったのでこれほど透明度が高い海は非常に憧れます。
そしててこの海洋実習の要である実地テストが行われます。
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「次、ハンドシグナル」
「ハンドサインなら、俺も一つ知ってるのによお」
パンツ―丸見え
なんてことをてこたちはやってない。

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「無数に立ち上る泡の柱は、全部ダイバーの呼吸。蒼の世界が見せてくれる、命の印。こんな世界があるなんて……!あの日、あきらめないで良かった。気持ちを飲み込んでしまわなくて、良かった。怖いって言えて、良かった。ここに来られて、本当に良かった」
「怖いって言えて、良かった」というセリフが地味に良い。てこは自分と向き合ってちゃんと「怖い」と言えたから、ここまで来れたんです。大抵はその前段階で諦 めてしまう人がほとんど。もちろん手を引いてくれたぴかりのおかげでもありますが、一番は変わろうとしたてこ本人の気持ちでしょう。何事も本人がやる気にならないと上手くいくものもいかないので。

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「ウェットスーツはこの独特の疲れがねぇ……」
ウェットスーツを着て潜ると変な疲れ方をするのか。また使いどころのない知識が増えた。

てこは見事、オープンウォーターダイバーの証であるCカードを授与され、周りの人皆で拍手します。
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「そっか……あのパチパチいう音。あれは、海がおめでとうって、拍手を送ってくれてたのかも」
恥ずかしいセリフ禁止

海際で話すてことぴかり。実はぴかりはてこに一目惚れしていたことが明かされます。
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「絶対この子と仲良くなって、一緒に海に潜るんだって勝手に決めて……。私、そういうの勝手に決めて、勝手に楽しくなって、止まんなくなっちゃうことよくあるから……。でも、それで相手を困らしちゃうこともあって……。私は絶対楽しいのにって思っても、やめてって思う子もいて……」
意外にも結構気を使っていたぴかり。天衣無縫に見えた彼女も、他の年頃の女の子と同じような悩みを抱えていたんですねえ。
それに対しててこは、ぴかりはたくさんのものをくれて、その全部が大好きになってる。これからも色んなものを大好きになりたい、これからもぴかりの大好きを教えて、と言います。
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「てこは今、自分のことが大好きになったんだね。だって私は、てこのことが大好きなんだから!」
恥ずかしいセリフ禁止!禁止!
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「行こっ」
今度はてこから手を伸ばしました。二人はもう立派なバディです。

「今、私は知ってる。顔を上げればいつだって、目の前には大きな楽しい世界が無限に広がってるってことを」
もし彼女達に会ったら、伝えておいてください……。恥ずかしいセリフ、禁止、と……。
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あまんちゅ!総評
日常時々ダイビング(大嘘)。
一話を見終えた時の正直な感想は、ARIAの足元にも及ばねえ、って感じでした。特にぴかりの「うぴょ」という口癖と、多用されるデフォルメ顔がどうにも鼻につきました。ARIAもデフォルメ顔は多かったですが、そっちは結構可愛かったのにぴかりのデフォルメ顔はなんか怖い……。話もARIAに比べて起承転結が弱いような気がしました。そして一番の問題は深刻な「恥ずかしいセリフ禁止」不足です。誰も突っ込まないので恥ずかしいセリフで溢れかえって見ているこっちが恥ずかしくなってしまう。藍華の存在がいかに偉大か思い知らされました。
しかし、見続けていくうちにこれらのことは慣れました。別に良くなっていったわけじゃないんですが、見ているこっちに受け入れる土壌が出来上がり、気にならなくなりました。もともと最初から美術と音楽は最高の出来だったので、もう三話目か四話目辺りでは見るのが楽しみになっていました。
てことぴかり、二人の関係にフォーカスを絞った構成も良かったです。友情よりも恋愛感情一歩手前のようなバディという二人の関係性は、ARIAの三人組とも違って新鮮でした。
特に最初は「うぴょ」という口癖のせいでイタいやつにしか見えなかったぴかりですが、のちにとんでもない聖人っぷりを披露して私に多大なインパクトを与えていきました。あそこまで出来た人間はそういないでしょう。
恥ずかしいセリフ製造機のてこも、一話と比べて見違えるように成長しました。彼女の成長を感じられただけでもこのアニメを見て良かったと思います。
マイ・ベストエピソードは、灯里と藍華が登場し、てこの悩みが露呈してそれを解決、ぴかりのぐう聖っぷりが際立った9話ですかね。
スタッフの皆さんお疲れ様でした。切に、切に二期を希望します。