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舟を編む 第一話「茫洋」感想

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「茫漠とした言葉の海、海を渡るすべを持たない僕たちはそこでただ佇む。誰かに届けたい思いを言葉を胸の奥底にしまったまま。辞書とはその海を渡る一艘の舟だ」
というわけで舟を編むが始まりました。私は原作は未読ですが、映画は劇場で観ました。今はなき吉祥寺バウスシアターで観た思い出深い作品です。こういった採算が採れないような作品をアニメ化してくれるノイタミナは非常にありがたい。

物語の舞台である玄武書房、その辞書編集部の荒木は、新しい辞書作りに必要な人材探しに奔走します。
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「辞書の編集作業は単行本や雑誌とは違う大変特殊な世界です。気長で細かい作業をいとわず言葉に耽溺し、しかし溺れきらず広い視野をも併せ持つ。そういう若者が今の時代に果たして……」
最後に辞書を引いたのはいつになるのやら……。これは物語なのでもちろん馬締といううってつけの人間が現れるわけですが、現代にそんな人間が今でも存在しているとはちと考えられません。
そう言えばこの物語の時代設定はいつなのでしょうか。映画版では1995年と明言され、原作では意図的に伏せられているそうです。

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この物語の主人公、馬締光也。少々鈍くさく、何事もそつなくこなしそうな西岡(辞書編集部のチャラ男)とは正反対。CVは櫻井孝宏
しかしここ最近櫻井氏の声を良く聞きます。オルフェンズのマクギリス、ユーフォニアムの滝先生、ジョジョ岸辺露伴ドリフターズ安倍晴明。櫻井氏はベテランもベテランなので当然と言えば当然なのですが。個人的に大好きな声優の一人なので嬉しい限りです。しかし週に何本も出てて全部キャラクター性が違っては大変でしょう。

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「馬締なぁ。真面目っつうか天然なのも結構だけど要するにもう少し空気読めってこと」
辞書編集部所属、西岡正志。CVは神谷浩史
国語辞書編纂者で、本アニメではサブタイトルの語釈を担当している飯間浩明氏によれば、空気を読むという言葉は21世紀に広まった言葉で、この時代ではまだ一般的な言葉ではなく西岡の新語に対する感度の鋭さ、ひいては辞書編集者としての優秀さを表しているそうです。馬締がわざわざ空気を読むという言葉の意味を確認したのも納得です。

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「煮物を作り過ぎちゃったんだよ。よかったらみっちゃん食べてって」
「ありがとうございます。ではご相伴にあずかります」
馬締が部屋を借りている早雲荘の大家、タケさん。
俺も「ご相伴にあずかる」なんて綺麗な日本語が自然に話せるようになりたいものです。

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こうやってメモしたものが、それこそ莫大・膨大にあるのでしょうね。

西岡から馬締の話を聞いた荒木は、馬締こそが自分の求める人物だと考え会いに行くことに。そして馬締に「右」という言葉を説明してほしいと言います。
右や、あるいは色の赤など、そうとしか説明できない言葉を説明するのは至難の業です。しかしそれをやってのけるのが辞書というものであり、辞書作りに必要な能力です。
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「「箸を使う方」と言うと左利きの人を無視することになりますし「心臓のない方」と言っても心臓が右にある人もいるそうですから……。体を北へ向けたとき東に当たる方角」
映画では、一つの辞書を例に出して「この辞書を開いた時の偶数ページがある方」と説明しており、スマートな説明の仕方だとえらく関心したものですが、それは次回辺りに来るのでしょうか。
馬締の答えに感激した荒木は、馬締に新しい辞書「大渡海」作りに力を貸してほしいと頼むのでした。

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「言葉の海を前にたたずむ人の心を思いを運ぶために、僕たちは舟を編む。言葉の海を渡る「大渡海」という舟を」