響け!ユーフォニアム2 第三回「なやめるノクターン」感想

合宿中の練習は凄絶を極め、朝は発声練習、午後は160分以上かけて10回連続で課題曲と自由曲を演奏するという十回通しが行われます。
10回連続!休憩を挟むとはいえ、恐るべきスパルタ練習です。調べたら結構メジャーな練習法らしい。中学の時、吹奏楽部の知り合いが吹奏楽部は体育会系なんだよ」と言っていて、その時は「なんやこいつ」って思ってましたが今なら理解できます。会うことがあれば謝らねば。

少し時間が戻って前回のヒキ、久美子があすか先輩に話したいことがあると言います。もちろん希美先輩のこと。それに対しあすか先輩は、
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「なになに?もしかして恋の相談?」
こういう思ってもないことをあえて言う先輩が俺は……いや、こう繰り返されるとぶっちゃけウザいです。あすか先輩は聡いのだから、久美子が何を相談したいのか大体わかっているだろうに。いや、さすがに久美子と希美先輩の繋がりは知りようがないし、そこまではわからない……か?どちらにせよ真面目な話をこう茶化されるのはあまり気分のいいものではありません。まあそれがあすか先輩の処世術なのでしょうが。

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関西大会ではユーフォニアムは今の二人で吹いてくださいと滝先生に言われ、喜ぶ久美子。かつて「お前、クビな」と言われたフレーズだけに、嬉しさもひとしおでしょう。自分のことのように喜ぶ周りの反応もグッド。しかし1期ではクビ宣告されることが重要なターニングポイントであったのに、それに対するアンサーはずいぶんあっさり流しましたね。2期で問われるポイントは別にあるということでしょうか。

鎧塚先輩は橋本先生に「ロボットが吹いてるみたい」と指摘されます。正確に吹くだけの奏者ならいらない、北宇治に足りないのは表現力だとも言います。芸術において表現力というのはどこまでも付いてくる課題ですね。確かにその人にしか出せない何かが存在するとは思いますが、心の部分を出せというのはふわっとし過ぎて非常に難しい。一方麗奈のように我の強い人間には当たり前の技術でもありますが。

夕食後、久美子は約束通りあすか先輩に、なぜ希美先輩の復帰を許可しないのか、疑問をぶつけます。
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「黄前ちゃんは、どうして私が許可しないと思ってるの?」
「質問を質問で返すなあーっ!!わたしが「理由」はと聞いているんだッ!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか? 」
そういやこのセリフがアニメで聞けるのもそろそろですかね。
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「聞いたら黄前ちゃんが辛くなるよ?それでもいい?」
まるで人間を試す悪魔みたいに問いかけるあすか先輩。
語られる理由。それによれば、鎧塚先輩は希美先輩の顔を見るだけで気持ち悪くなるほどのトラウマを抱えており、しかし希美先輩はそのことを知らない。希美先輩が復帰した場合鎧塚先輩がダメになってしまうので、二人を天秤にかけて一人しかいないオーボエ奏者の鎧塚先輩を優先したとのこと。
フルートの音だけではなく、顔見るのもNGとは……。問題の根は深そう。
「あんたが戻ってくるとみぞれちゃんがオーボエ吹けなくなる、とはさすがに言えないでしょ?私もそこまで鬼じゃないよ」とあすか先輩は言いますが、そこまで鬼だと思ってました……。むしろ平気でそれが出来るのがあすか先輩だと。
しかしこんな話、確かに希美先輩に話すわけにもいきませんね。あすか先輩の言う通り聞かないほうが良かったかもしれません。けれど無関心でいられずなんとかしようともがくのが我らが主人公、黄前久美子なのでした。

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「わーい!花火花火ー!」
良くアニメだとこういうふうに二本持ちで上に上げたりしますが、夢のないことを言うと手持ち花火って熱いし火花は散るしでとてもじゃないが怖くてこんなこと出来ません。少なくとも俺は。

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「まぁでも、滝くんがああやって笑ってるの見てホっとしたよ。滝くん、奥さんがいなくなって、ずっと元気なかったから」
久美子の近くにいると失言しやすくなるのか、橋本先生はうっかり滝先生の過去をバラしてしまいました。滝先生の奥さんは五年前に亡くなり、そのことで気を病んだ滝先生はずっと音楽から離れていたとのこと。
そういえば同じ吹奏楽をテーマにしながら「響け!ユーフォニアム」とは似て非なるハルチカでも、かつて天才指揮者だった顧問の先生が明言はされていませんでしたが奥さんを亡くして第一線から退いたという過去がありましたね。どっちがどっちをパクったというわけではありませんが、こういった背景は創作者に好まれるのでしょうか。

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「だから、北宇治の顧問になったって聞いた時は本当に嬉しかった……。指導手伝ってほしいって言われた時は、ちょっと泣きそうだったよ」
今回一番グッと来たシーン。最初見た時には気づきませんでしたが、目尻に涙を溜めているのも芸が細かくて実に良い。こういう男同士というか、大人同士の友情っていいですね。あんまり押し付けがましくなくて素直に感動できる。だから感動シーンに滝先生のモノマネで笑わせるのはやめてくれ!似てるというか本人の声なのも笑いを誘います。

久美子は持ち前のエンカウントスキルで夏紀先輩とデカリボンが言い争っている場面に出くわします。
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デカリボンに見つかった久美子でしたが、壁と一体となって事なきを得ます。もちろん嘘です。

鎧塚先輩の友だちであるデカリボンも当然希美先輩を復帰させない理由を知っており、さりとてそれを夏紀先輩に言うわけにもいかず彼女なりに悩んでいました。2話でも結構親しげだったし、なんだかんだで仲良いですよね夏紀先輩とデカリボン。

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「本気で全国行こうと思うんだったら、上手い人が吹くべきだと思う」
「え?先輩それって……」
前回のプールでの久美子と希美先輩の会話を盗み聞きしていた、というわけではなく、なんやかんや言ってもデカリボンは麗奈がトランペットのソロを吹くのを認めていました。
そういやもうホントに全然忘れてましたが、久美子は中学時代に3年の先輩を差し置いてレギュラーの座を得た時のごたごたがトラウマになっていたんですよね。そのことを考えれば前回かつてと同じことを問われしっかり言い返した久美子は立派にトラウマを乗り越えました。

部屋に戻ってきた久美子に、麗奈は塚本と会っていたのかと聞きます。麗奈はちょっと恋愛脳が過ぎるな……。
そういや塚本は1話の祭り以降出てきません。まるでモブ扱い。塚本は多分花咲くいろはのコウちゃんみたいに最後の最後まで久美子に相手にされないのでしょう。コウちゃんと同じように逆転ゴールを決めることが出来るかどうか。

翌朝久美子が練習に行くと、トランペット吹くパズーユーフォを吹くあすか先輩の姿が。
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「その曲はどこか不思議で、温かくて……寂しくて……、幾重にも重なった感情が込められているようだった」
今まで俺はあすか先輩のことを吹奏楽意外に興味のない血も涙もない人間だと思っていましたが、どうやらことはそう単純では無い様子。果たして彼女の真意はどこにあるのか。