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響け!ユーフォニアム2 第四回「めざめるオーボエ」感想

今回で二年生編が一応の決着を迎えました。思ったよりあっさり問題が解決したような、結構引っ張ったような。

関西大会を目前に控え、久美子も練習に力が入ります。そこに最早北宇治吹奏楽部の爆弾と化した希美先輩が現れます。
先輩によれば、鎧塚先輩の昔の演奏は凄く情熱的だったとのこと。変わったのはあんたのせいだyo!とはもちろん言えない久美子。
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ちょっと様子見に行くという希美先輩に、ワンテンポ遅れて事の重大さに気づく久美子。しかし途中で部長と香織先輩にエンカウントして、希美先輩はさすがに気まずいのか会いに行くのを一旦諦めます。
が、後日それは起こった!
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「久しぶりだね。みぞれ」
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あーあ。
まあ鎧塚先輩に会おうとした点については希美先輩に落ち度はありません。鎧塚先輩の事情を彼女が知る由もないし。どちらかと言えば問題を先送りにしていたあすか先輩やデカリボン側に責任があります。もちろんそのことで責める気にはなりませんが。こうなることは必然だったと言えるでしょう。

なお鎧塚先輩を追おうとする希美先輩を、デカリボンは強く引き止めます。希美先輩はポカーン。
事情を知っているということで、鎧塚先輩捜索の白羽の矢が久美子に立ちました。
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「あの子の事情、知ってるよね?みぞれのこと探してくれない?お願い!」
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「は……はい……」
ふつうならここで力強く「はい!」と返事させるところですが、いかにも困ったように返すのが響け!ユーフォニアムの特異な点であり俺が好ましいと思う点です。いきなりめんどくさい状態の先輩を探してと言われても色んな意味で面倒だし、ぶっちゃけ久美子も嫌々とまでは言わなくても気が重いことでしょう。事情を知っているからさらに倍率ドン。

どうにか教室でうずくまる鎧塚先輩を見つける久美子。希美先輩が嫌いなのかとこれ以上ない直球を投げつけます。
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鎧塚先輩は人が苦手で、友だちも出来ずずっと一人だったと言います。そこに手を差し伸べたのが希美先輩。こうして希美先輩は鎧塚先輩にとって大切な友人になりました。
うーん……。俺、こういうの嫌いなんですよね。内向的な人間が社交的な人間に話しかけられて友だちになるというのはよくある展開で、王道でありもはや古典的表現です。俺が嫌なのは、じゃあ話しかけた人間は誰でも良かったのかということ。今回の例で言えば、話しかけたのが希美先輩でなくても鎧塚先輩は救われたんじゃないかと考えてしまいます。
これについて悪意ある答えを出したのが米澤穂信先生著の小説「ボトルネック」です。ネタバレになりますが、内向的で暗い主人公の、これまた内向的で暗い彼女は、主人公のいないパラレルワールドでは明るく社交的な性格になっていて主人公は驚愕します。その理由が、死んだはずの社交的で明るい主人公の姉と仲良くなっていたから。主人公の彼女は付き合った人間から強く影響を受けるだけであって、本来の彼女は別に根暗ではなかったのでした。
つまり俺が言いたいのは手を引かれた側に主体性が感じられないんですよね。引っ張ってくれれば誰でも良かったんじゃないの?と一度思うとどうしてもその考えが頭から離れず美しいはずの友情も歪に見えてしまいます。
今回の久美子の言葉じゃないですが、自分が穿った見方をしているのは重々承知してはいるのですが。

人気者の希美先輩にとって自分は数多い友人の中の一人……その思いを決定的にしたのが、希美先輩が吹奏楽部を辞めることを自分には知らせてくれなかったことでした。
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「私だけ知らなかった。相談一つなかった。私はそんな存在なんだって知るのが怖かった……」
重っ。
希美先輩のフルートの音を聞いて気分が悪くなったのは、中学の時のトラウマが原因じゃなかったんですね。
本人に聞けよ!と言うのは簡単ですが、それができなかった鎧塚先輩の気持ちは良くわかります。聞いて自分と希美先輩が友だちじゃないと知るよりは、聞かずに現実から目をそらすことで友だちだと信じ続けるほうが楽ですから。
ならなぜ今でも吹奏楽を続けているのかと久美子が聞くと、音楽だけが自分と希美を繋ぐものだからだと鎧塚先輩は答えます。重いなあ……。あまんちゅ!のてこがこじらせるとこうもなるのかといった感じです。

そこに現れたデカリボン。自分には希美しかいないという鎧塚先輩に、じゃあ自分は何?とちょっと怒ります。
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出たー!!!京アニ伝家の宝刀、ほっぺたぱーんだ!
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影から光へ。良い演出です。似たような構図で「アイドルマスター シンデレラガールズ」のアニメ第一話を思い出します。まあデレマスのように「シリアスにはとりあえず雨振らせとけ」みたいに同じ演出ばかり繰り返すと途端に陳腐になってしまうので、今回だけにしてもらえるとありがたい。

デカリボンの言葉で心が氷解していく鎧塚先輩。デカリボンがここまで株を上げるとは。その活躍に免じてこれからはデカリボン先輩と呼んでやろう!

そして遂に希美先輩とご対面。ずっと聞けなかった、なぜ辞める時教えてくれなかったのかを聞きます。
明かされる理由、それは希美先輩にとってふつうのことで、頑張ってる人に一緒に辞めようとは言えない、というのが真相でした。
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「もしかして……仲間はずれにされたって思ってた?」
辞めようとは言えずとも、辞めることを教えても良かったのでは……?どうにも希美先輩が無神経な人間に思えてしまいます。
「私は辞めるけど、あなたはこれからも頑張ってほしい」ぐらい言えたでしょうに。そもそも希美先輩と鎧塚先輩は数ヶ月も会うことも連絡をとることもしていないということになり、それって本当に友だちなの?って感じです。鎧塚先輩の言う通り、希美先輩にとって鎧塚先輩は数多くいる友だちの内の一人なんじゃ……。

長きに渡ったすれ違いを解消した鎧塚先輩は、かつての自分の演奏を取り戻し、それを聴いて夏紀先輩とデカリボン先輩はイチャイチャするのでした。

終わってみれば、今回の件で久美子はこれといって活躍しませんでした。鎧塚先輩の問題はデカリボン先輩と希美先輩によって解決し、そこに久美子の出る幕はありませんでした。久美子の役割といえば鎧塚先輩と希美先輩の過去を視聴者に伝える伝達役で、有り体に言えば探偵役でした。まあ鎧塚先輩とさして関わりのない久美子が解決できる種の問題ではありませんでしたから、当然といえば当然です。しかしだからこそ久美子が多少なりとも解決の端緒になってくれることを期待していたのですが。それはあすか先輩編におあずけでしょうか。

全てが終わり、今回のことを話す久美子とあすか先輩。
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「でもずるい性格してるよね、みぞれちゃんも。みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって結局一人が怖いからでしょ?優子ちゃんは保険だね」
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「黄前ちゃん……全国、行こうね」
なんやこいつ。