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舟を編む 第三話「恋」感想

舟を編む

謎の美女と邂逅し、一発でフォーリンラブした馬締。朝起きるとそこは布団の上で、昨日の出来事は夢だったと考えます。
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「あっ、おはようございます。昨夜はどうも」
もちろん夢ではなく、彼女、林香具矢はタケさんの孫娘で、今度から早雲荘で暮らすことに。ちなみに板前を目指して働いているとのこと。
馬締は満足な受け答えができずひたすらあわあわ。
しかし創作において、男性が女性に惚れる場合そこに理由はなくても納得できるのに、女性が男性に惚れる場合は何かしら理由がないと納得出来ないのはなんでなのでしょうか。無理矢理答えを出すとすれば、人が美しいものに惹かれるのは当然だから、か……?

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(全然話せなかった……どうして僕は言いたいことを伝えられないんだろう)
わかる……わかるぞ馬締。俺もあの時ああ話せたらといつも思ってばかり。自分の言いたいことを伝えるというのは難儀なことです。少なくとも俺のような人種にとっては。

職場に着くとさっきまでの落ち込み具合が嘘のように、馬締はやる気に満ちた顔で、黙々と辞書編集の作業をこなします。相変わらずじみ~~な仕事です。そしてそれ故大変そう。
西岡の「最近のガキはませてるよな~」という発言のせいで馬締は「おませ」と「おしゃま」の違いが気にかかり、調べてみることに。西岡も最初は嫌々な感じで手伝いますが、馬締の真剣さに感じるものがあったのか、「しゃーねえな」とどこか楽しげ。なんだかんだで西岡は面倒見が良いというか付き合いが良いですね。
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「距離」という単語で今朝のことを思い出し、凹む馬締。
「明暗」、漱石の作品ですね。青空文庫で読めます。
しかしこれだけで馬締が恋をしているとわかるとは、西岡は人の機微に対して敏感です。
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「何だ基本情報ぐらいぱぱっと聞き出さないとうまくいかないぞ」
「そ……そんなこと言われても……。今まで女性に積極的に迫るなんてこと……」
「お前まさか……童貞!?」
どどどど童貞ちゃうわ!

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へえ、あのシャドーボクシング用の紐、不精紐って言うんだ。

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月例会議で、場を和ませる西岡に馬締は尊敬の眼差しを向けます。松本先生が若い感性を持ち併せているからか、ザ・若者みたいな西岡とも気が合って、仲が良さ気な職場です。
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「最近ITという言葉をよく聞きます。情報技術インフォメーションテクノロジーのことです。あいにく私は理解がいまひとつ進んでいないのですが、若い人たちの間にはどんどん浸透しているようです。それで大渡海にITに関する用語をできるだけたくさん取り入れてみてはいかがでしょうか?」
20世紀から21世紀って異様な時代で、インターネットの発展に伴いカタカナ言葉も尋常じゃないほど増えていったと思います。そんな日々増えていく新しい言葉を取り入れようとするのは大変な作業でしょう。まるでイタチごっこ。
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「あっ、それならこいつ実は童貞らしいんですよ」
どどどど(ry
西岡はみんなに馬締が恋したことを話します。意外にもコイバナに食いつく松本先生。いや、もちろん先生には深い考えがあって、辞書作りには人生のあらゆるものを捧げる必要があり、それを理解してくれる伴侶かどうかは大事なことだと説きます。
とんとん拍子で話は決まり、辞書編集部のみんなで香具矢が働いている料亭に行くことに。

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凛々しすぎて男に見える……。やっぱ髪型って大事。

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「でも好きですから。何年かかっても私は板前になりたいです」
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香具矢の言葉に、自分と同じものを感じる馬締。何年掛かっても辞書を完成させる、馬締はあらためてそう決意するのでした。

帰り道、馬締は西岡に自分もどうしたら西岡のようになれるのか、と自分の思いを吐露します。
西岡はふつうのことと言いますが、自分にはそれが出来ない、思ったことを口にするのは難しい、と馬締。馬締は気づいてないでしょうが、ずいぶん思ったことを口にしています。それだけ西岡と親密になったということでしょう。
西岡も西岡で、馬締の仕事ぶりは自分には出来ないことで、お前のほうが凄いと返します。
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「……!そうか!頼ったり頼られたり……これが!そうか。僕にできないことは頼れば!」
自分ができることをしてやり、できないことは頼ればいい。タケさんの言葉を噛みしめる馬締。
そんな馬締を見て、辞書作りの面白さに少しずつ目覚めていく西岡。互いが互いに影響を与えていく好循環ですね。しかし一寸先は闇。辞書編集部にはひっそりと危機が迫っていました。
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なんと大渡海の企画が立ち消えになるらしいとの噂が。それを偶然聞いてしまった西岡。一体辞書編集部は、そして大渡海はどうなるのか。
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