火ノ丸相撲 第120番「感謝」感想

主審による「物言い」――「異議申し立て」が行われ、三ツ橋に上がった軍配が協議されることに。同者が土俵の外に落ちたのがほぼ同時で、どちらが先に地に着いたのか際どい差であったためです。しかし軍配通りである可能性ももちろんある……!
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が……駄目っ……!
再び取り直して勝てるはずもなく、三ツ橋の敗北が決定しました。同時にダチ校怒涛の三連勝も決定しました。
しかし金盛の独白のように、「ここまでやっても勝たせてもらえないのか」、といった感じです。三ツ橋の狂気じみた勝利への執念からくる奇策もそうですが、マンガ的に見ても、何度も前フリを入れてきたのに勝たせてもらえないとは、シビアというか、川田先生は自分のキャラに厳しいというか。中々思い切ったことをするものです。
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三ツ橋は倒れこんだ時に首藤の膝をもろに喰らい、足を負傷していました。これにより決勝での桐人出場フラグが立ちました。ここらへんは予想通り。
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三ツ橋を見てチヒロに去来するのは、かつて三ツ橋が言った言葉です。「いつか僕の勝利に感謝する時が来る」――。しかし勝負の世界は非情。ダチ校二連敗という後のない現実だけが重くのしかかります。
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大典太がまた負けとる……。
準決勝三回戦、チヒロの対戦相手は国宝「大包平」加納彰平。久世を除けば天下五剣が高校相撲最強と勝手に思っていたので、大包平が高校相撲No.2なのはちょっと意外。モブが解説しているように、童子切安綱と合わせて東西の両横綱と呼ばれる名刀ですから、二つ名の格としては十分と言えるでしょう。
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土俵の上で突然笑い出すチヒロ。土俵上でベラベラ喋るのって火ノ丸相撲じゃ珍しいですね。このマンガに出てくる奴はどいつもこいつも言葉でなく結果で語るナイスガイたちばかりなので、今回見たいなのはレアケース。空気読めないキャラのチヒロなら自然な流れだし、たまにはこういうのも悪くない。
勝たなければ全ては無意味と言う加納に、確かに結果だけ見ればホタルはいてもいなくても一緒だと言うチヒロ。
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「でもな……横であいつの努力をずっと見てたら、それが全て無意味だったなんて、俺は思わねぇし、誰にもそんな事は言わせねえ」
加納の言葉を真っ向から否定するチヒロ。このあとちゃんと「お前たちもそうだろう。負けた天王寺の道が間違ってると思いたくなくて、燃えてるんだろうが」とフォローするのも良い。三ツ橋が血反吐を吐きながら努力してきたことは疑いようがありませんが、ここに立つ人間は誰しもが同じように血の滲むような努力をしてきているはずです。燃え滾っているのは何もダチ校だけではないはず。相手の意気を汲み、その上で自分が勝つという、熱い宣戦布告です。
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「感謝するぜ。お前と出会えたこれまでの全てに!!!
才能に溢れ、レスリング時代は楽に勝ってきたチヒロにとって、どんなにみっともなくともチームの為に勝とうとし、その為になりふり構わない三ツ橋は自分にはないものを持つ存在でした。そんなチヒロが三ツ橋から教えられたもの。それは一勝の重みと、なりふり構わず食らいつく格好良さ。そのことにチヒロは「感謝」するのでした。
まさか「感謝する時が来る」という前フリをこういうふうに拾うとは……。
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「火ノ丸の道も、ホタルの道も無駄じゃねぇ。それを……ホタルに熱を貰った俺が、てめぇに勝って証明してやるよ!!」
仲間の思いが、辿った道が、強さになる。ベッタベタですが燃える展開です。そして次回はCカラー。以前のCカラーが約一ヶ月前ですから中々の優遇ぶりです。一時期の低い掲載順が嘘のよう。

響け!ユーフォニアム2 第五回「きせきのハーモニー」感想

前回までの不満が吹き飛びました。ひたすらに圧倒されました。拍手したいぐらいです。それほどまでに手放しで賞賛できる回だったと思います。
約7分間に渡る、「三日月の舞」ノーカット演奏には驚愕しました。楽器の動き、音色、息づかい、緊張感がこれでもかというほどに伝わってきました。こんな真似が出来るのは京アニぐらいのものでしょう。凄まじい作りこみです。
俺も知らず知らずのうちに拳を握りしめていました。まだ5話なのだから全国に行くのは分かりきっていたのに、見ている間は「失敗したらどうしよう」とか「頼むから全国行ってくれー!」と祈るような気持ちでした。俺が演奏していたわけでもないのに、緊張しっぱなし。
しかしここまでやりきってしまって最終回は大丈夫なのでしょうか。果たしてこれ以上に盛り上がることが出来るのか。今回課題曲の方はカットされたし、原作に忠実な時の京アニだからさして心配はしていませんが。
そういや今回は「そして次の曲が始まるのです」は無かったですね。俺はあれを聞くために見ているようなものなので、ちょっと残念。

関西大会前日。学校で行う大会前最後の練習が終わります。
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橋本先生と新山先生は今回が最後で講師をやめることに。原作一巻分を5話にまとめたことで、ずいぶん早いサヨナラに感じます。しかし橋本先生は最後まで私服がダサかったな……。

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私をスキーに全国に連れてって!」
葉月は自分も頑張って来年は一緒に全国を目指すと宣言し、それはそれとして今年自分たちを全国に連れていき、全国が凄いってことを見せてほしいと久美子に頼みます。
前に葉月にはもう出番らしい出番はないんじゃないかと言いましたが、こういうところで物語を引き立てるとは。むしろスタメンのみどりのほうが出番がない。

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(おそらく今、本当に冷静にいられる人なんて、一人だっていやしない)

そしていよいよ関西大会当日。最後のリハを終え、部長から一言……の前にあすか先輩が言いたいことがあるとのこと。
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「今の私の気持ちを正直に言うと……私はここで負けたくない。ここまで来た以上、何としてでも北宇治の音を全国に響かせたい。みんな!これまでの練習の成果を今日、全部出し切って!」
あすか先輩が部員の気持ちをまとめあげたせいで部長は言うことがなくなりました。ここらへんが部長があすか先輩を苦手とする理由でしょう。

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希美先輩はどうやら吹奏楽部に復帰出来た模様。鎧塚先輩の希美先輩アレルギーが無くなって、あすか先輩も反対する理由がなくなり許しを得たのでしょう。しかし二人がイチャイチャすればするほどなんで二人は数ヶ月もコミュニケーションをとらなかったのか謎で仕方ありません。思春期のすれ違いなんて往々にしてそういうもの、ということで自分を納得させておきます。

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あー!またこいつらか!一期の頃から背景の方で付き合っていることを仄めかしていた二人。やっぱりカップルなんですかね。

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「行きましょう。みんなで、全国へ!」
ジョジョ
完全に一致。

そして北宇治高校の演奏が始まります。
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「先輩。コンクールはまだ嫌いですか?」
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「たった今、好きになった」

少し……

舟を編む 第三話「恋」感想

謎の美女と邂逅し、一発でフォーリンラブした馬締。朝起きるとそこは布団の上で、昨日の出来事は夢だったと考えます。
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「あっ、おはようございます。昨夜はどうも」
もちろん夢ではなく、彼女、林香具矢はタケさんの孫娘で、今度から早雲荘で暮らすことに。ちなみに板前を目指して働いているとのこと。
馬締は満足な受け答えができずひたすらあわあわ。
しかし創作において、男性が女性に惚れる場合そこに理由はなくても納得できるのに、女性が男性に惚れる場合は何かしら理由がないと納得出来ないのはなんでなのでしょうか。無理矢理答えを出すとすれば、人が美しいものに惹かれるのは当然だから、か……?

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(全然話せなかった……どうして僕は言いたいことを伝えられないんだろう)
わかる……わかるぞ馬締。俺もあの時ああ話せたらといつも思ってばかり。自分の言いたいことを伝えるというのは難儀なことです。少なくとも俺のような人種にとっては。

職場に着くとさっきまでの落ち込み具合が嘘のように、馬締はやる気に満ちた顔で、黙々と辞書編集の作業をこなします。相変わらずじみ~~な仕事です。そしてそれ故大変そう。
西岡の「最近のガキはませてるよな~」という発言のせいで馬締は「おませ」と「おしゃま」の違いが気にかかり、調べてみることに。西岡も最初は嫌々な感じで手伝いますが、馬締の真剣さに感じるものがあったのか、「しゃーねえな」とどこか楽しげ。なんだかんだで西岡は面倒見が良いというか付き合いが良いですね。
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「距離」という単語で今朝のことを思い出し、凹む馬締。
「明暗」、漱石の作品ですね。青空文庫で読めます。
しかしこれだけで馬締が恋をしているとわかるとは、西岡は人の機微に対して敏感です。
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「何だ基本情報ぐらいぱぱっと聞き出さないとうまくいかないぞ」
「そ……そんなこと言われても……。今まで女性に積極的に迫るなんてこと……」
「お前まさか……童貞!?」
どどどど童貞ちゃうわ!

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へえ、あのシャドーボクシング用の紐、不精紐って言うんだ。

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月例会議で、場を和ませる西岡に馬締は尊敬の眼差しを向けます。松本先生が若い感性を持ち併せているからか、ザ・若者みたいな西岡とも気が合って、仲が良さ気な職場です。
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「最近ITという言葉をよく聞きます。情報技術インフォメーションテクノロジーのことです。あいにく私は理解がいまひとつ進んでいないのですが、若い人たちの間にはどんどん浸透しているようです。それで大渡海にITに関する用語をできるだけたくさん取り入れてみてはいかがでしょうか?」
20世紀から21世紀って異様な時代で、インターネットの発展に伴いカタカナ言葉も尋常じゃないほど増えていったと思います。そんな日々増えていく新しい言葉を取り入れようとするのは大変な作業でしょう。まるでイタチごっこ。
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「あっ、それならこいつ実は童貞らしいんですよ」
どどどど(ry
西岡はみんなに馬締が恋したことを話します。意外にもコイバナに食いつく松本先生。いや、もちろん先生には深い考えがあって、辞書作りには人生のあらゆるものを捧げる必要があり、それを理解してくれる伴侶かどうかは大事なことだと説きます。
とんとん拍子で話は決まり、辞書編集部のみんなで香具矢が働いている料亭に行くことに。

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凛々しすぎて男に見える……。やっぱ髪型って大事。

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「でも好きですから。何年かかっても私は板前になりたいです」
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香具矢の言葉に、自分と同じものを感じる馬締。何年掛かっても辞書を完成させる、馬締はあらためてそう決意するのでした。

帰り道、馬締は西岡に自分もどうしたら西岡のようになれるのか、と自分の思いを吐露します。
西岡はふつうのことと言いますが、自分にはそれが出来ない、思ったことを口にするのは難しい、と馬締。馬締は気づいてないでしょうが、ずいぶん思ったことを口にしています。それだけ西岡と親密になったということでしょう。
西岡も西岡で、馬締の仕事ぶりは自分には出来ないことで、お前のほうが凄いと返します。
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「……!そうか!頼ったり頼られたり……これが!そうか。僕にできないことは頼れば!」
自分ができることをしてやり、できないことは頼ればいい。タケさんの言葉を噛みしめる馬締。
そんな馬締を見て、辞書作りの面白さに少しずつ目覚めていく西岡。互いが互いに影響を与えていく好循環ですね。しかし一寸先は闇。辞書編集部にはひっそりと危機が迫っていました。
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なんと大渡海の企画が立ち消えになるらしいとの噂が。それを偶然聞いてしまった西岡。一体辞書編集部は、そして大渡海はどうなるのか。
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響け!ユーフォニアム2 第四回「めざめるオーボエ」感想

今回で二年生編が一応の決着を迎えました。思ったよりあっさり問題が解決したような、結構引っ張ったような。

関西大会を目前に控え、久美子も練習に力が入ります。そこに最早北宇治吹奏楽部の爆弾と化した希美先輩が現れます。
先輩によれば、鎧塚先輩の昔の演奏は凄く情熱的だったとのこと。変わったのはあんたのせいだyo!とはもちろん言えない久美子。
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ちょっと様子見に行くという希美先輩に、ワンテンポ遅れて事の重大さに気づく久美子。しかし途中で部長と香織先輩にエンカウントして、希美先輩はさすがに気まずいのか会いに行くのを一旦諦めます。
が、後日それは起こった!
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「久しぶりだね。みぞれ」
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あーあ。
まあ鎧塚先輩に会おうとした点については希美先輩に落ち度はありません。鎧塚先輩の事情を彼女が知る由もないし。どちらかと言えば問題を先送りにしていたあすか先輩やデカリボン側に責任があります。もちろんそのことで責める気にはなりませんが。こうなることは必然だったと言えるでしょう。

なお鎧塚先輩を追おうとする希美先輩を、デカリボンは強く引き止めます。希美先輩はポカーン。
事情を知っているということで、鎧塚先輩捜索の白羽の矢が久美子に立ちました。
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「あの子の事情、知ってるよね?みぞれのこと探してくれない?お願い!」
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「は……はい……」
ふつうならここで力強く「はい!」と返事させるところですが、いかにも困ったように返すのが響け!ユーフォニアムの特異な点であり俺が好ましいと思う点です。いきなりめんどくさい状態の先輩を探してと言われても色んな意味で面倒だし、ぶっちゃけ久美子も嫌々とまでは言わなくても気が重いことでしょう。事情を知っているからさらに倍率ドン。

どうにか教室でうずくまる鎧塚先輩を見つける久美子。希美先輩が嫌いなのかとこれ以上ない直球を投げつけます。
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鎧塚先輩は人が苦手で、友だちも出来ずずっと一人だったと言います。そこに手を差し伸べたのが希美先輩。こうして希美先輩は鎧塚先輩にとって大切な友人になりました。
うーん……。俺、こういうの嫌いなんですよね。内向的な人間が社交的な人間に話しかけられて友だちになるというのはよくある展開で、王道でありもはや古典的表現です。俺が嫌なのは、じゃあ話しかけた人間は誰でも良かったのかということ。今回の例で言えば、話しかけたのが希美先輩でなくても鎧塚先輩は救われたんじゃないかと考えてしまいます。
これについて悪意ある答えを出したのが米澤穂信先生著の小説「ボトルネック」です。ネタバレになりますが、内向的で暗い主人公の、これまた内向的で暗い彼女は、主人公のいないパラレルワールドでは明るく社交的な性格になっていて主人公は驚愕します。その理由が、死んだはずの社交的で明るい主人公の姉と仲良くなっていたから。主人公の彼女は付き合った人間から強く影響を受けるだけであって、本来の彼女は別に根暗ではなかったのでした。
つまり俺が言いたいのは手を引かれた側に主体性が感じられないんですよね。引っ張ってくれれば誰でも良かったんじゃないの?と一度思うとどうしてもその考えが頭から離れず美しいはずの友情も歪に見えてしまいます。
今回の久美子の言葉じゃないですが、自分が穿った見方をしているのは重々承知してはいるのですが。

人気者の希美先輩にとって自分は数多い友人の中の一人……その思いを決定的にしたのが、希美先輩が吹奏楽部を辞めることを自分には知らせてくれなかったことでした。
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「私だけ知らなかった。相談一つなかった。私はそんな存在なんだって知るのが怖かった……」
重っ。
希美先輩のフルートの音を聞いて気分が悪くなったのは、中学の時のトラウマが原因じゃなかったんですね。
本人に聞けよ!と言うのは簡単ですが、それができなかった鎧塚先輩の気持ちは良くわかります。聞いて自分と希美先輩が友だちじゃないと知るよりは、聞かずに現実から目をそらすことで友だちだと信じ続けるほうが楽ですから。
ならなぜ今でも吹奏楽を続けているのかと久美子が聞くと、音楽だけが自分と希美を繋ぐものだからだと鎧塚先輩は答えます。重いなあ……。あまんちゅ!のてこがこじらせるとこうもなるのかといった感じです。

そこに現れたデカリボン。自分には希美しかいないという鎧塚先輩に、じゃあ自分は何?とちょっと怒ります。
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出たー!!!京アニ伝家の宝刀、ほっぺたぱーんだ!
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影から光へ。良い演出です。似たような構図で「アイドルマスター シンデレラガールズ」のアニメ第一話を思い出します。まあデレマスのように「シリアスにはとりあえず雨振らせとけ」みたいに同じ演出ばかり繰り返すと途端に陳腐になってしまうので、今回だけにしてもらえるとありがたい。

デカリボンの言葉で心が氷解していく鎧塚先輩。デカリボンがここまで株を上げるとは。その活躍に免じてこれからはデカリボン先輩と呼んでやろう!

そして遂に希美先輩とご対面。ずっと聞けなかった、なぜ辞める時教えてくれなかったのかを聞きます。
明かされる理由、それは希美先輩にとってふつうのことで、頑張ってる人に一緒に辞めようとは言えない、というのが真相でした。
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「もしかして……仲間はずれにされたって思ってた?」
辞めようとは言えずとも、辞めることを教えても良かったのでは……?どうにも希美先輩が無神経な人間に思えてしまいます。
「私は辞めるけど、あなたはこれからも頑張ってほしい」ぐらい言えたでしょうに。そもそも希美先輩と鎧塚先輩は数ヶ月も会うことも連絡をとることもしていないということになり、それって本当に友だちなの?って感じです。鎧塚先輩の言う通り、希美先輩にとって鎧塚先輩は数多くいる友だちの内の一人なんじゃ……。

長きに渡ったすれ違いを解消した鎧塚先輩は、かつての自分の演奏を取り戻し、それを聴いて夏紀先輩とデカリボン先輩はイチャイチャするのでした。

終わってみれば、今回の件で久美子はこれといって活躍しませんでした。鎧塚先輩の問題はデカリボン先輩と希美先輩によって解決し、そこに久美子の出る幕はありませんでした。久美子の役割といえば鎧塚先輩と希美先輩の過去を視聴者に伝える伝達役で、有り体に言えば探偵役でした。まあ鎧塚先輩とさして関わりのない久美子が解決できる種の問題ではありませんでしたから、当然といえば当然です。しかしだからこそ久美子が多少なりとも解決の端緒になってくれることを期待していたのですが。それはあすか先輩編におあずけでしょうか。

全てが終わり、今回のことを話す久美子とあすか先輩。
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「でもずるい性格してるよね、みぞれちゃんも。みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって結局一人が怖いからでしょ?優子ちゃんは保険だね」
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「黄前ちゃん……全国、行こうね」
なんやこいつ。

今週のジャンプ感想 2016年48号

・「ブラッククローバー
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もっとこう……あるでしょ……?
ここ最近褒めてた俺がバカみたいな展開です。退魔の剣で自分の腕をぶっ叩くのはなかなか面白いと思っていたらコレ。いや、まあ分かるんですよ田畠帝の考えは。折角の巻頭カラーですからばばーんとアスタを活躍させたいのでしょう。でもいくらなんでもこれはない。
あまりにアスタの復活が早すぎて悲壮感もそれに伴う復活の高揚感も何もあったもんじゃない。窮地に追い込まれる仲間、見ているしかないヒーローの嘆き、戦線復帰し仲間のピンチに颯爽と現れ敵をぶっ倒す爽快感、これが王道であり俺の思い描くヒーローの復活劇であり、ブラクロもそうなると思っていました。つまり「悟空――!!!はやくきてくれ――っ!!!」が理想です。書いてて思ったけどこれヴェット戦のヤミそのままだな。
治療不可能だと言われていた腕の問題の解決がこれではこの先のブラクロがいかにシリアスな展開になってもあまり期待できそうにありません。まあまだアスタの腕を治した女王の術に裏がありそうですが。

・「約束のネバーランド
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内通者はレイであるばかりか、そもそもの発端を仕掛けたのもレイでした。これには驚きました。良い意味でも悪い意味でも。
確かにレイが脱獄を仕掛けたというのはまるで想像してなかったし、意外性があって良い。しかし意外性は時としてリアリティを犠牲にしてしまいます。
この前映画「インフェルノ」を観た時も思ったのですが、読者の裏をかこうとするあまり「それってありえなくね?」と言う疑問がどうしても湧いて出てきてしまいます。約束のネバーランドで言えば第一話でもしエマ達が見つかったらその時点で計画は終了です。未来を見通せるわけでもないのに、不確定要素がありすぎる計画が上手くいくのは、未来が見通せる作者の顔がチラついて萎えてしまいます。

・「鬼滅の刃」
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うまく言葉にできませんが、誰よりも家族の絆を大事にする炭治郎がこういうこと言うのってなんか良いですね。家族の絆と仲間の絆を区別しないのが良い。

・「左門くんはサモナー
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火ノ丸相撲 第119番「勝利の土俵」感想

前回のジャンプの感想で火ノ丸相撲の感想だけ長くなって思ったのですが、準決勝・決勝とここから先火ノ丸相撲は熱い展開が続くだろうし、必然言いたいことも多くなるだろうということで、火ノ丸相撲だけは個別に感想を書くことにしました。個人的に今のジャンプで一番好きなマンガという理由も大きいですが。

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前回、史上稀に見る卑劣な作戦で首藤の冷静さを奪った三ツ橋。しかしそれでもまだ勝つには足りないと、猫だましを使って一瞬の隙をつくり、県予選では読まれて不発に終わった八艘飛びを成功させます。
ちなみに猫だましを三ツ橋に授けたのは桐仁。桐仁の考えていた後ろに飛ぶという作戦は使われず、三ツ橋の考えた作戦だけで勝ったら監督(笑)になっていたので、授けた策が勝利に貢献して良かった。
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県予選で俺が思っていたことを金盛が代弁してくれました。
八艘飛びを決めた三ツ橋。相手の真後ろに立ちしかも相手は土俵際というこれ以上ない展開とは言え、体格差は依然絶望的です。さあ、どうするのか。
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これまでの稽古で、三ツ橋には首藤を持ち上げるほどの体が出来上がっていました。ここ最近、心技体のうち心ばかり取り上げられていたので体が決め手になるのは嬉しい展開です。「…もう奇策なんていらねえよ。なあ、ホタル…!」というチヒロのセリフも熱い。
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しかし相手も全国王者の一角、三ツ橋の廻しに手をかけ負けじと抵抗。最後は三ツ橋の足掛けで勝負は土俵の外までもつれ込みましたが、判定で三ツ橋が勝利をもぎ取りました。
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三ツ橋の覚悟を感じ取ったのか、そこに最早罵倒の声はなく、大番狂わせをやってのけた小さな力士に絶え間ない喝采が送られるのでした。奇策→奇策→正攻法というのが良かったのでしょう。前回あれだけ観客を敵に回してどうなるのかと思いましたが、いい落とし所だと思います。なんだかんだ言っても土俵際の攻防の熱さで観客の手のひら返しも気にならなくなるのだから、我ながらチョロい読者です。
しかし喜ぶダチ校メンバーの中に火ノ丸がいないのが実に不穏です。考えるに、火ノ丸は三ツ橋の相撲ではなく、自分を捨てるようなやり方に怒るんじゃないでしょうか。観客が三ツ橋を認めたことで禍根が残らなかったから良かったものの、そうでなければ三ツ橋は一生相撲を汚した男というレッテルを張られていたでしょうし、そんな事態を義理人情に厚い火ノ丸は望まないでしょう。
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あ、ダメそう。

祝・『怒りのロードショー』商業化決定

comic-walker.comタイトルのまんまです。新都社の月刊コミックニートで連載中のwebマンガ「怒りのロードショー」が、この度ComicWalkerで連載がスタートしました。実にめでたい。

怒りのロードショーは映画オタクの男子高校生たちがひたすらどうでもいい映画談義に花を咲かせる、映画好きのボンクラ向けのマンガです。

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↑ひたすらこんな会話が続く

現在アニメが放送中の「バーナード嬢曰く。」のテーマが小説から映画に変わり、主人公がさわ子ではなく神林になったといえばわかりやすいでしょうか。

一年ほど前ネットで紹介されていたのをたまたま目にし、俺みたいなボンクラオタクの心理を的確についた会話劇がクリーンヒットしてすぐにハマりました。最新話の更新をずっと待っていましたがまさか商業化の準備を推し進めていたとは。

このまま人気が出て「バーナード嬢曰く。」みたくアニメ化してくれることを望みます。